感動ってなんだろう?しんみり考えさせられる小説をご紹介!

   

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そもそも「感動」ってなんでしょうか?

 

個人的な話ですが、よく、

「この小説は泣けた!」とか、

「涙が止まりません!」といったレビューを目にすることが多いですが、

実は私、小説で泣いたことがありません。

いや、レビューを批判しているわけではないんですよ。

個人的に泣くことがほとんどないのです。自分の問題ですね、はい。

 

 

そもそも、「感動」ってなんでしょうか?

泣くのが感動なのでしょうか?

そういうイメージ、強いですよね。

 

でも、どうやらそうではないみたいです。

調べてみると、「物事に深く入って、心を動かすこと」だそうです。

だから、「感動=泣く」ではないのです。

 

怖い話で揺さぶられるのも、

ハッピーエンドで明るい気分になるのも、

嫌な登場人物にムカムカするのも、

全部、心が動かされている点で、感動しているのです。

感情が動く、と書いて感動ですから。

 

 

これはオススメ!東野圭吾のミステリー小説『秘密』

 

 

でも、泣くような小説にも出逢いたいですよね。

しんみりとしたい、そんな時あるじゃないですか。

そんなわけで、「人生っていったいなんだろう?」とか、

静かに雨音が聴こえる室内で、ぼーっとそんなことを考える、

そんなような気分になれる小説のうち、ひとつに絞って、

できるだけネタバレを避けて紹介いたします!

 

 

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『風の音が聞こえませんか』のあらすじと作者について

 

 

今回紹介させていただくのは、

小笠原慧さんの、

『風の音が聞こえませんか』

です!

 

この『風の音が聞こえませんか』は、様々な意味で、

感動させられます。

揺さぶられます。

登場人物を、自分に置きかえて考えたりしちゃいます。

さて、そんな素晴らしい作品について、簡単に紹介させていただきますね。

 

 

この作品は、ダブル主人公(主人公が二人いる)と捉えた方がいいと思います。

一人は、統合失調症を患う青年晃(ひかる)、

もう一人は、晃のケースワーカーである美知(みち)、

この二人が接点を持ち、恋愛に発展していく、

と書いちゃえばそれまでなんですが、

実際のところ、これはかなり精神医学的に描かれています。

(ちなみに、このころは精神分裂病という呼称の時代ですね)

 

というのも、作者である小笠原慧さんは、

精神科医でもあるんです。岡田尊司さんといいます。

 

精神科医の作家で有名なのは、

北杜生先生や帚木蓬生さんなどがおられます。

実力派の人が多いんですね。

 

 

横道にそれました。更に横道にそれます。

さて、みなさんは、統合失調症にどのようなイメージをお持ちでしょうか?

 

「突然暴れ出しそう」

「元には戻れない人」

そんな感じでしょうか。

 

けれども実際は、そんな危険な症状じゃないんです。

日常生活を投薬を摂取して、ちゃんと送っておられる方も多いのです。

実はこの小説は、統合失調症について、

実感を持って(ちょっとでも)わかるようになるだけでなく、

読了後、偏見がなくなるような作品でもあるんですね。

 

 

さて、本題に戻ります。

この小説で、晃は投薬を拒否している時期と、受け入れる時期があります。

ここでの晃の変化の具合が、心を揺さぶります。

美知も揺さぶられっぱなしです。

 

投薬を拒否しているときの晃の「能力」がある状態(この能力は、妄想ではないのです)、

薬を飲んでいるときの晃の落ち着いた状態、

果たして、あなたはどちらが好きになるでしょうか?

 

 

作中で、投薬で抑え込むのがいいのか悪いのか、

という問いが美知から主治医に向けてなされます。

ここまで突っ込んだ作品は、他に読んだことがない上に、

それに対する主治医の返答は、多くの医者が同じことを言うだろうか?

と、思うほど誠実です。

ここだけでなく、作品に一貫して小笠原慧さんが、

統合失調症に対して取っているスタンスが明確に現れています。

 

そのスタンスは、まさしく愛です。

人間的な愛、とでも言ったらいいのでしょうか。

何が正しくて・何が悪いのか、つい我々は決めたがりますが、

物事ってそんな単純じゃないですよね。

複雑だからこそ泣くし、怒るし、笑うんです。

そんなことに気づかせてくれる小説です。

 

 

 

読んだ後に、あなたは何が聞こえますか?

 

 

私はこの小説を二度ほど、時期をあけて読みました。

ぼんやりと部屋で意味もなく天井を見つめ、

夕方なのにコーヒーを淹れて飲みながら、

「幸せって、なんやろな……」

なんて感慨にふけっていました。感動してましたね、はい。

あとセンチメンタリズムとナルシシズムが働いていたような気もします。恥ずかしいっ!

 

 

繊細な晃が外界を拒絶する気持ちもわかるし、

その固く閉じこもった晃の心を開くのは、

けっこう強引で明るい美知じゃないと無理なんだろうなー、とか、

美知に出逢えた晃は幸せなんじゃないだろうか、いや、でも……、と、

色々作品世界について考えてしまいます。

フィクションとは思えないほど、リアルです。

 

景色は浮かぶし、外見も浮かぶし、それぞれの登場人物の気持ちもわかる、

誰もがみんな、晃や美知、それ以外の登場人物の性格を、

少しでもどこかに持っているのではないか、

そんな風に思わされます。

 

 

つまり、他人事、と捉えられなくなるのです。

発症することに恐れるとかではありませんのでご安心ください。

 

「病気」は本当に「病気」なのか?

愛し合うって決まりきった形じゃないといけないのか?

人と人との繋がりって、不思議だよなー、

 

など、色々考えました。

みなさんがこの小説を読んで、どんな感想を抱かれるのか、

聞きたい気もしますが、

そっと胸の中に大事にしまって欲しいような気もします。

 

 

もしかしたら、あなたは泣きじゃくっているかもしれません。

あるいは、今日はなにもしたくない、となるかもしれません。

無性に誰かと話したくなるかもしれません。

 

 

一人でいたときに私に何が聞こえたかは、内緒にします。

なんだか、そんなことを言いたくなるくらい、複雑な読後感なんですね。

でも、この本と出逢えてよかった!と、間違いなく言えます。

 

あ、決して後ろから読まないでくださいね(笑)

 

 

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まとめ

 

 

いかがだったでしょうか。

極力ネタバレを避けた結果、

個人的な読後感とかばかり書いてしまったような気もしますが、

感動できる小説といったらこれだろう、という思いと、

もっと多くの人に手に取ってもらいたい、という想いが重なって、

このような内容になりました。

無理強いはしないので、頭の片隅にでも、

「へー、こんな本あるんだ」

と留めてもらえたら幸いです!

ではまた!



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